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札幌市在住。踊る一級建築士。

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Creative Life Work

箔押しカレンダー2018 #2

販売する3つの商品の細かい検討が終わり、今は販売の方の準備を進めております。正式に販売開始できるのがだいたい11月の下旬ごろを予定しておりますが、それに先立ちこのブログで商品のご紹介をさせていただきます。

Traditional(トラディショナル)

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Traditional

 パタッとたたんで革ひもでキュッと縛る。立てせてクルクル回せば数ヶ月先まですぐに見ることができる、製本屋さんが作った箔押しカレンダーです。一つの面に上下2ヶ月分、それが3枚連なって片面で半年分(1〜6月)。裏返してもう半年分(7〜12月)となっております。 

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開くとこのような形になります

素材と加工方法

できる限り製本屋さんにある材料を使うことと、製本屋さんだからこそできる加工技術を使うことを考えてデザインをしました。折り曲げる部分は、製本の表紙と背表紙が可動する部分の動きを参考にしております。また、仕上げは製本に使われる「布クロス」という素材で、通常は製本の際、ハードカバーの表面に使われるものです。(グレーのタイプを除く)

箔押し

「箔押し」というのは印刷加工の方法の一つです。「印刷」と聞くとコピー機から自動的に出力されるものをイメージされるかもしれませんが、この箔押しという印刷は昔ながらの加工技術でとても手間のかかる作業です。手で一枚ずつ紙をセットし、箔という金や銀の薄いシートを被せ、文字(今回はカレンダー)の書いてある金属の板を上から台紙に押し付けることで、箔の色を台紙に印字することができます。この箔押しについてはまた別の機会に詳しくご紹介させていただきます。

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贈り物として誰かに渡すときのことを想定し、シンプルな箱も一緒にデザインしました。「何が入ってるんだろう?」という、箱を開ける瞬間の期待感も一緒にプレゼントしていただきたいという思いから、今回はそれぞれの商品を箱に入れて販売いたします。

年末挨拶用カレンダー

一般向けの販売とは別に、企業の年末挨拶回り用カレンダーとして採用させていただくことができました。 

 

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年末挨拶回り用カレンダー

中央の下に会社名が入るようになっております。色は一般販売用とは別に複数ある色サンプルの中から選んでいただきました。今回ご採用していただいた吉田会計事務所様のコーポレートカラーは緑と金でしたので、布クロスを緑、文字を金にしております。

 

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会社名ももちろん箔押し

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 ありがたいことに他の会社様からもご注文をいただくことができましたが、一つ一つ手作りであるがゆえに一般販売用も含め、どうしても製作数量が限られてしまいます。今後販売していく商品は限定販売となることをご了承ください。

 

箔押しカレンダー 2018 #1

来年のカレンダーの製作をしております。

前回2017年カレンダーは2種類。三角に折りたたむタイプと、ミニサイズのタイプでした。今年はバリエーションをもう一つ増やして3種類とし、さらに既存の商品も細かい検討をして微調整しました。

パッケージ

今回は箱に入れて販売します。自分で使いたいと思っていただけるのももちろん嬉しいのですが、誰かにプレゼントしたい。そう思っていただけるようにパッケージにもこだわってみました。

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新たに真鍮丸棒を使った商品のパッケージ

会社やお店のカレンダーとして

カレンダーの一部に会社名やお店の名前を入れて、挨拶回り用やノベルティとしてのオリジナルカレンダーにも対応します。どんな感じになるのかは追ってご紹介いたします。

年末の挨拶回り用のカレンダーって、生産された数に対してどれくらいの数が使われているのか。施設などに寄付する選択肢もあるそうですが、結局廃棄されてしまうものがほとんどなのではないでしょうか。必要なものを、必要なだけ、というわけにはいかない日本企業の悪しき伝統行事だと思います。

もらって嬉しいカレンダーがあったらいいなと思ったことがきっかけで、2018年バージョンは名前を入れれるように工夫をしました。「挨拶回りのためのカレンダー」ではなく、「あげて嬉しい、もらって嬉しいカレンダー」として、このカレンダーが世の中に広まっていくことができたらとても嬉しいです。

 

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色を検討したときの試作品。白い文字と白いスエードの紐の相性がいいです。

商品の情報については追って情報を出していきますが、もし会社やお店などでご検討いただけることがありましたら、お気軽にお問い合わせください。よろしくお願いします。

 

【Design Knead】

mail : designknead@gmail.com
 

 

↓参考までに、前回(2017年)のカレンダーはこちら

designknead.thebase.in

引越しの動機 〜 日本と外国の違い〜《後編》

前回の続きです。

↓前回

http://www.designknead.com/entry/2017/08/26/230000

 

外国とのアンケートの比較

部屋選びに対する夢や憧れが少ない。それは外国と比較した場合の話であって、きっと日本国内のアンケートだけを見ていればそのような感覚にはならないでしょう。このレポートのように外国と比較することは、自分の国を知ること。当たり前過ぎていたことに疑問を持つきっかけになります。

「ここでいい」か「ここがいい」か

賃貸に対して日本人が「希望を持てない」ということは「期待していない」ということ。賃貸に期待できないから戸建てが欲しいと思う気持ちもわかります。他の選択肢としては、「もっといい賃貸はないだろうか」と必死になって探し、いいなと思う部屋はやっぱり予算オーバー。結局はそれなりの身の丈に合った家賃と広さの部屋に決める。空き家は多いから選択肢はあるはず。なのにどこも似たり寄ったりで決め手が無い。家賃と広さと立地でバランスが取れたところに落とし所を探す。そんなケースが少なく無いのです。

いろんな比較をした結果「ここでいい」と決めるか、それとも直感的に「ここがいい」と思える部屋に出会えるか。一文字の違いが大きな違いです。

日本人が部屋に求めるもの

この結果から見る日本人の部屋に対する価値観というのは、様々な要因が複合的に絡んでおります。部屋に求めるものの違いは、生活に対する意識の違いです。ワークライフバランスという言葉がここ数年言われるようになった背景には、長時間労働ブラック企業の問題があります。その場合は当然仕事に偏重しているわけですから、生活を楽しむ余裕がない。家に帰っても寝るだけ。寝るだけの部屋にそこまでお金をかけたくない。若しくは固定費にあたる家賃を抑えるために、住むところは諦めているという場合もあるでしょう。いい部屋を供給できたからといって、部屋に対する満足度が上がるかというと、そう単純でもないのです。

住環境の満足度を上げる

しかしながら、多忙な中だからこそ、住むところにはこだわりたいというニーズもあると思います。住環境を良くすることと、住環境の満足度を上げることは似ているようで違っていて、前者は建物(ハード)の性能を上げたり設備を充実させたりすることにあたりますが、後者はそれらも含めつつも、地域コミュニティ(ソフト)の豊かさや、自分が住むその地域に対する思いも含めての満足度にあたります。後者のように、住環境の満足度を向上させるような賃貸住宅のあり方ってなんだろう。どうしても、ハードの面に目が行きがちですが、ヒントは後者のソフト面にあるのではないか。このレポートを読みながら、最近はそんなことを考えております。

 

引越しの動機 〜 日本と外国の違い〜《前編》

引越しの動機について、日本と外国の違いについての考察です。ちょっと長くなってしまったので前編と後編に分けております。

 

引っ越すとき

進学したとき。就職したとき。転職したとき。結婚したとき。子供ができたときなど。日本においては、生活環境の変わり目に引越しをするというのが一般的でしょう。 

ポートランダーの部屋選び

他の国の人たちはどのような動機で引越しをしているのか。ここ最近話題に上ることが多いポートランドを例に挙げてみたいと思います。「ポートランド 世界で一番住みたい街をつくる(著/山崎満広)」によると、

ポートランド都市圏には現在、毎週約300〜400人が移住してくる。(中略)彼らの多くは西海岸の自由な風土、海と山に囲まれた大自然、そして西海岸の他の都市に比べて割安でサスティナブルなライフスタイルにひかれて移り住んでくる。

引越しの理由は「ライフスタイル」です。そして引っ越す人の多くは25〜35歳の若年層で、仕事が決まらないままにまずは引っ越しをする。ということは、第三の場所(サードプレイス)を求めて第一の場所(自宅)を決め、それから第二の場所(職場)を探す。ライフスタイル最優先ということですね。

 

 

 さらにもう一つ。「なんの変哲もない取り立てて魅力もない地方都市 それがポートランドだった」(著/ビイ・タオタオ)より、引越しの理由について引用させていただきます。

ポートランド都市圏に転入するYCE(young college-educated:大卒以上の学歴を持つ人)達は、手に届く価格の住宅や、便利な公共交通、整備された自転車道、活気あふれる商店街、守られている自然環境といった同都市圏の高いクオリティ・オブ・ライフを享受するためなら、他の都市圏で得られたはずのより良いキャリア機会を放棄しても構わないと考える人々であるというのである。

 仕事を中心に住む場所を選ぶのではなく、「この街に住みたい!」というところからの引越し。移住を促進するために働きかけるのではなく、人々が住みたいと思う街を作ることに力を入れてきたポートランドという都市。その結果、毎週300〜400人もの人たちが移住するような魅力溢れる都市になったというわけですね。

東京、ニューヨーク、パリ、ロンドンの比較

次に、最近の私の愛読書である「賃貸住宅生活実態調査」(リクルート住まい研究所)による調査結果からみてみましょう。「2-1 住み替えの行動ー受動的なきっかけー」の中で、現在の住宅を探したきっかけについてのアンケート調査が載っています。パーセンテージが高い上位3つを記載しております。

東京

進学、就職、転職、職探しのため(20.4%)

結婚、同棲(19.7%)

よりよい住宅に住むため(15.4%)

 先述したとおりの内容ですね。まぁ、これだけ見ると特に違和感はないと思います。そして他の国はどのような結果かみてみましょう。

ニューヨーク

よりよい住宅に住むため(23.5%)

通勤や通学に便利な地域に暮らすため(19.9%)

よりよい地域に暮らすため(生活利便性や周辺環境の改善)(17.6%)

 

ロンドン

よりよい住宅に住むため(25.9%)

通勤や通学に便利な地域に暮らすため(17.6%)

進学、就職、転職、職探しのため(15.9%)

 

パリ

よりよい住宅に住むため(24.2%)

結婚、同棲(17.0%)

出産や子供の成長(15.8%)

 どこの国でも1位は「よりよい住宅に住むため」となっております。そして全体的に数値が高い。文化や住居に求めるものが日本と違うから、と言ってしまえばそれまでなのですが、サブタイトルからもわかるように日本における引越しの動機は「受動的なきっかけ」であるということが言えます。

 部屋選びで重視するポイント

次に、部屋選びにおいて重視するポイントについて、同レポートを引用しながら考察していきたいと思います。複数回答可として4つの都市のアンケート結果が示されております。まずはレポート内のコメントをピックアップしたものをご覧いただくと、どれだけ東京(日本)と他の国において、部屋に求めるものが違うかがわかります。

  • 全般的に回答スコアが低い
  • 消費者に特に強い希望やこだわりがない
  • 住まい選びの積極性、能動性が低い
  • 東京では、転居にあたって「こんな地域でこんな部屋に暮らしたい」という"夢や憧れ"が少ない
  • 求めるのはコストと通勤・通学の利便性ばかり
  • 回答傾向を表すグラフの山谷は、ニューヨーク、ロンドン、パリが互いに似ていて、東京だけが独自の傾向を示す

このレポートは東京のアンケートを元に作成されていますが、これが日本人の価値観と言い替えても差し支えはないでしょう。最後のコメントにあるように、「独自の傾向」を示すとともに、全体的にスコアが低い結果となっております。まさに「夢や憧れのない住まい選び」ということが浮き彫りとなりました。

 

 

後半へ続く・・・ 

賃貸住宅の質はなぜこんなに低いのか 〈後編〉

「賃貸住宅の質はなぜこんなに低いのか」の後編です。ちなみに賃貸住宅全てを否定しているわけではありません。ということを前置きしておきます。引用は前回同様、リクルート住まい研究所の「賃貸住宅生活実態調査」からになります。

↓前回の記事〈前編〉はこちら。

賃貸住宅の質はなぜこんなに低いのか 〈前編〉

住宅は資産?それとも使用財?

依然として資産としての側面が強調される政策が継続されている。このような政策の失敗は、住宅市場に対して、次の三つの問題をもたらしてきた。 

 「政策の失敗」とまで言い切ってますね。その3つの問題というのがこちら。

  1. 低品質の住宅の大量供給と既存住宅市場の成熟の遅れ
  2. 賃貸住宅市場が未完備であるために、依然として住宅を保有させることで、家計を住宅の価格変動のリスクにさらしてきたこと
  3. 所有を前提とした住宅政策を運営してきたことの最大の問題は、住宅の資産面ばかりが強調される中で、われわれに住宅との正しい付き合い方を見失わせてしまった

この中で注目したいのは一つ目の問題です。空き家問題やストック化社会などの言葉をよく耳にするようになり、既存住宅市場の活性化に大きく舵が切られているように思えますが、その実態は依然として新築市場偏重の政策であることが指摘されております。

とりわけ着工戸数に対しては一年間に100万戸という暗黙の目標値を設定し続け、それが達成できなくなると予想されると、一戸あたりの単価を上昇させるために長期優良住宅などといったような単価をかさ上げすることを目標とするような政策運営がなされた。

建設新聞などを見ると「新築が何%増で好調」とか「何%減に転じた」とか、新築が多ければ多いほど良いような言い回しがされていることに違和感を感じていました。こうした言葉の端々からも未だに新築に偏重していることが見て取れますね。既存建物の有効活用に舵を切っているなら「用途変更による利活用が何%増」という統計があっても良い気がします。

戦後の高度経済成長期からバブルの生成、崩壊を経てもなお「新築偏重」である日本という国が、どれだけ他国から遅れをとっているのか。同レポートの中で書かれているので別の機会に取り上げたいと思います。

賃貸=持ち家までのブリッジ

このような住宅のライフコースの中では、賃貸住宅市場を持ち家までの短期的なブリッジとして位置づけている。そのために、いつかは住宅を持つという目標を実現させるために、賃貸住宅は劣悪な住環境でも仕方がない、むしろその方が住宅を購入するためのモチベーションを高めるといったことで、政策上放置してきたという点である。(中略)短期間に償却させるような地主の節税対策としての賃貸住宅経営を促進させる税制を設定することで、良質な賃貸住宅の建設を阻害させるようなことも暗に促してきた。

「子供ができるころには家を持ちたい」という声をよく耳にします。近隣を気にしなければならなかったり、十分な広さがなかったり、そもそも自分が住むにしても満足していないことが多いのですから、可愛い子供には健康的でのびのび暮らせるような家で育って欲しいと思うのは当然のことです。しかし、十分な住環境の賃貸住宅が提供されていないのが現状であり、その問題というのが政策の歪みによってもたらされているということがここで指摘されております。

まずは現状把握

国がこれからも新築戸建てを促進する政策ばかり打ち出していくのであれば、賃貸住宅の住環境が戸建てレベルになることは期待できないでしょう。

このレポートを読んでみて、まずはこうして現状をしっかりと把握することが必要だということがわかりました。賃貸住宅の質が低いから、じゃあ頑張って質の高い賃貸住宅を作ろう!という単純な問題ではないということ。「質」と一言で言っても、それが断熱気密の快適性のことなのか。もちろんそれも大事ですが(特に寒冷地の北海道においては)、住宅に対する満足度の指標はそれだけではありません。

自分の住む札幌でどのようなアクションを起こせば賃貸市場に一石を投じることができるか。それを考えながら、このレポートをじっくり読み返してみようと思います。

賃貸住宅の質はなぜこんなに低いのか 〈前編〉

一般的に日本では「賃貸仕様」という言葉があるくらい、戸建てと賃貸の建物の性能に差異があります。賃貸住宅では断熱性も気密性も最低限。「これくらいでいいだろう」と言わんばかりの仕様がほとんどを占めております。

賃貸住宅生活実態調査

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札幌の姉妹都市「ポートランド」

 以前、ポートランドと札幌市のことについて記事を書きました。

ポートランドがまちづくりの手法として、用途を適度に複合させる「ミクストユース」という手法を使ったことについて触れました。

ポートランドの都市計画「ミクストユース」 - Design Knead

そして「ミクストユース」を札幌市でも特に人気がある円山エリアと重ね合わせ、円山エリアがなぜ人気があるのかということについて考察してみました。

札幌の街と「ミクストユース」 - Design Knead 

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